1.はじめ
今月の6冊目(瞑想のやつはあまり合わなかったので、読みたいとこだけ読んで終わらせました)
— 🇯🇵Ken : 日本語/英語 ”コーチ” in フィリピン🇵🇭(日本に一時帰国中) (@kh678k) November 26, 2020
白井先生の本は卒論の時に超お世話になりましたが、この本は読んだことなかった気がするので、読みます💪 pic.twitter.com/H47xTVu7od
卒論では第二言語習得理論から日本の英語教育を批判?する内容について書きました。その時に白井先生の本には大変にお世話になりました。白井先生の本はかなり読んだ気がしますが、今回レビューをする本は読んだ記憶がなかったので、読んでみました。
本記事では、著書の内容を引用しながら「学習者同士の繋がりの重要さ」と「印象に残った学習(指導)方法」を中心に書きます。
2.学習者同士の関わり、繋がり
"先生が教室の中で学生の誤りにフィードバックをしても、不安度の高い学生には効果はなく、不安度の低い学生のみに効果が出た" - Location: 293 『英語はもっと科学的に学習しよう』 (中経出版) 白井恭弘(著))
ここで言う不安度というのは「これで合ってるかな〜」「間違えたらどうしよう」「間違えたら恥ずかしいな〜」のような不安の度合いのことです。どういうクラスだとこういう心理が働きやすい(出現しやすい)でしょうか。きっと答えは明らかなので、あえて割愛します。もちろん個人差はあると思います。そういう時にはクラスの雰囲気だけではなく、教師側の何らかのサポート、アクションも必要でしょう。
"これはまた動機づけに関する大事なポイントなのですけれども、個人でやっていて出せるやる気には限界がある。だから、いっしょに何か勉強する仲間がいたほうがやる気も出る。人間というのはひとりでは生きていけない動物なので(人間だけではなくて他の動物もそうですけれども)やっぱり人といっしょに何かやるということは、動機づけにつながるわけです" - Location: 442 『英語はもっと科学的に学習しよう』 (中経出版) 白井恭弘(著))
”サークルの活動に行けば友人に会えるというのは、 やる気を起こさせますし、ひとりではできないプレゼン、ディスカッションなども、グループ活動としてできる” -Location: 442 『英語はもっと科学的に学習しよう』 (中経出版) 白井恭弘(著))
教室をこういう場所としてコーディネートするのも教師の役割だと思います。 「行く前はだるいけど、行ったらなんだかんだ楽しいんだよな〜」「勉強はあまり好きじゃないけど、みんないるし、楽しいから行こう」等、教室に行きたいと思う理由は何でもいいと思います。避けるべきことは教室に行くことを負担と思わせてしまうことです。教室にさえ来てもらえれば、後は社会的ストラテジーを十分に活かして、基本的には学習者同士で高めあってもらえばいいのです。(現れないとどうしようもないから、来てくれるだけで感謝というスタンスで)
3.印象に残った学習(指導)方法
”あらゆる学習は 無意味学習よりも有意味学習のほうが記憶に残ります。ですから、いかに 無意味学習を有意味学習につなげていくかを考えて効果的に覚えましょう。「語呂合わせ学習」がいい例…” - Location: 1456 『英語はもっと科学的に学習しよう』 (中経出版) 白井恭弘(著))
無意味学習と有意味学習を説明すると…
無意味学習:「Obey」=従う、「Obey」=従う、「Obey」=従う、ように、覚えようとしてとにかく繰り返したりする等、繋がりや関連を持たせないで学習すること。(維持リハーサルとかはこれに当てはまる。根性論っぽいかもしれない)
有意味学習:(「Obey」の発音は日本語の「欧米」の発音に似ているのに関連して)「昔の欧米(obey)は厳しいからルールに従う」のように何かしらの繋がりや関わりを与えて学習すること。(精緻化リハーサルとかはこれに当てはまる)←ちなみにみなさんだったら、どう覚えますか?(笑)
上記であげた有意味学習の例のように、繋がりや関わり、論理性は個人の知識、文化等にかなり依存すると思うので、なるべく学習者それぞれに任せるのが良いのかなと思います。しかし学習者の性質(国籍、母国語、生い立ち等)が似ていれば、とある学習者の方法が他の学習者にも応用できる可能性も高いと思います。「この漢字はどう見えますか?」とか「漢字ストーリー」のアクティビティで役立ちそうですね。
”「添削をしないでも書く練習をするだけで、同じような効果が表れる」という結果になった研究もたくさんあります。添削をするのであれば、ひとつの文法項目にしぼってフィードバックをしたほうがよい、という研究結果もあります。なぜ添削をしても効果があまりないのか、というひとつの理由に、添削をしたものを学習者は一度さっと見るだけなので、効果がないということが言われています。まったく見ない学生もいます。これでは効果は出ないでしょう。” - Location: 1579 『英語はもっと科学的に学習しよう』 (中経出版) 白井恭弘(著))
”添削してもらったら、自分はどこが弱いのかじっくり吟味するといいでしょう。添削してもらったものは、すべて一カ所にまとめておいて時々時間をおいて見直せば、自分の弱点とともに英語力の変化もわかるのでやってみてください。”- Location: 1584 『英語はもっと科学的に学習しよう』 (中経出版) 白井恭弘(著))
あまり作文指導に関する本や理論は読んだこと無いので、へぇ〜と思うことばかりでした。個人的にかなり興味深いと思ったのは、”一つの文法項目にしぼってフィードバックをしたほうがよい”という部分です。 みなさんはどうですか?私は作文全体の誤り、構成等にフィードバックをしています。確かに初級の学習者に赤文字で最初から最後まで訂正しまくっても、理解できないフィードバックがある可能性も高いし、そしてちゃんと見ないで終わる可能性も高そう(というかいっぱい訂正があったら最初から読む気無くすかも…汗)。
ただ教師一人が一つの作文に対して一人一人、一つ一つの項目について訂正すると膨大な量になりそうなので、授業内で「動詞の活用に注意して見てみよう」等と項目毎に指示を出し、巡回しながら、自分で確認させる活動はどうでしょうか。注意を向けて、後から読んでみると間違いに気づくことって、自分の経験に当てはめてみてもよくあります。誰かに添削してもらうことよりも、自分で何が間違っているのかを発見して、正確に直すことのほうが学習という意味においては価値(学習効果)があるのかなと思いました。その間違いを正確に探せて、自分で訂正できるような指示出し、環境づくりは教師がサポートできることですね。(もちろん他人(教師)による添削が無意味と言っているわけではないです。コロケーションや響きなどのネイティブが得意とするところは教師による指導が効果的だと思います)
”映画を見て話せるようになるためには、(1)理解度が保証できる、(2)使える表現の多い映画を選ぶことが大切。それを何度も見て、字幕なしで理解できるようにする。そして、その映画についていろいろアウトプットしてみる…” - Location: 1611 『英語はもっと科学的に学習しよう』 (中経出版) 白井恭弘(著))
映画が言語学習にとって効果的な教材になりうることはなんとなく分かっていますが、どうやって活用するのかがはっきり分からなかったので、備忘録として。
4.まとめ
2.学習者同士の関わり、繋がり
仲間の存在ってやっぱり大事だなと再認識。今自分がこうして日本語教師として働いているのも、これまで関わってきた人があってこそだと思います。私が教師という職業を目指すきっかけになった中学校の元担任のS先生、日本語教師を目指すきっかけをくれた母校(大学)のJ先生、養成講座の教育実習で協力し合ったMさん、Jさん。挫折しそうなときも、助けが必要なときもいつも頼りにしてました。彼らがいなかったらきっと今日本語教師ではないかもしれません。
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