結論から言うと、英会話ができれば英語を使って間接法で指導することができます。下記にてもう少し詳しくお話します。
間接法で必要なのは、日本語を教えるために必要な「知識」と「スキル」、そして「外国語」の3つの要素です。基本的には日本語で指示したり、説明したりしていることを外国語にすればいいだけです。そしてそこで使われる外国語(ここでは英語にしておきます)は、日本の中学校レベルのものが自由に使えれば十分なことがほとんどです。
実際に間接法で指導している世界の日本語教師33名に下記のような質問をしてみました(外国語の種類は問いませんでした)。
間接法で授業してる人って間接法のトレーニングとか受けましたか?それとも直接法メインの養成講座とか出て、外国語話せるからもしくは勉強したから間接法でやってるって感じですか?
— Ken (将来は社長@🇯🇵🇵🇭) (@kh678k) October 4, 2021
ちなみに僕は後者です。
間接法で使ってる媒介語は問わないです。
結果は29人(約90%)が間接法のトレーニングを受けずに、外国語を話せるまたは勉強したから間接法で指導していると回答しました。当校PJ LINKで間接法で指導している日本語教師を含めると、33人になります。私(木村)も直接法をメインとした養成講座を出ており、間接法のトレーニングを受けたことはありません。間接法のトレーニングを受けたことがない理由で授業がうまくいかなったということはほとんどないです。うまくいかない理由のほとんどは、冒頭で挙げた間接法で指導するために必要な3要素の日本語を教えるために必要な「知識」と「スキル」です。
日本語教師は日本人(日本語母語話者)だけでなく、外国人(非日本語母語話者)が教師として日本語を教えることもあります。その場合は、現地語(教師の母語)で指導することが多いです(特に初級レベルのクラスでは)。外国の日本語教育機関では、「文法の授業は現地語で現地人日本語教師」がやって、「会話の授業は日本人日本語教師」という体制で指導しているところも多いです。つまり間接法で指導するためには、間接法のスキルそのものというよりは、外国語のスキルが必要だということです。この文脈では3要素のうち、外国語が一番強いとも言えるかもしれません(現地人日本語教師は、日本語教育能力検定試験も日本語教師養成講座420時間の資格を持たずに指導していることがほとんどです)。
最後にまとめると、間接法で指導するにあたって必要な要素は、日本語を教えるために必要な「知識」「スキル」、そして「外国語」です。「知識」は日本語の知識ですね。例えば「たら」「れ」「ば」の違い等の日本語という言語そのものに関する知識です。「スキル」は言い換えると「教え方」とも言えます。目的に合った教授法を選択し、その方法で授業ができること等です。日本語母語話者が日本語で指導する場合、すなわち直接法ではこの2つの要素が必須です(オンライン化の発展に伴いICTのスキルも重要だと思います)。間接法で指導する時は、基本的には使用言語を外国語にするだけなので、外国語のスキルが必要です。もちろんコツはありますが、先のアンケート結果と当校の間接法での日本語指導実績を見る限りでは、間接法そのもののスキルはそこまで重要ではないと言えます。やっていけば学べることもあるので、間接法で指導してみたい方は、まずは外国語を身につけるということを優先するのが良いと思います!
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